2026年8月10日から14日まで、スウェーデンのBarsebackにあるバーセベックゴルフクラブ(Barseback golf club) で第15回世界デフゴルフ選手権が開催されました。
参加国21ヵ国、参加人数合計126名(男子52名、女子23名、シニア男子41名、シニア女子10名)で競われました。
日本代表の成績は下記の通りです。
一般男子の団体戦での金メダルは、特定非営利活動法人日本デフゴルフ協会(前身の日本デフゴルフ連盟を含む)を設立して以来、初めての世界一、快挙となりました。これまでの最高順位は3位(2024年INオーストラリア)でした。
一般女子の団体戦では5位入賞、シニア男子の団体戦では4位入賞となりました。
また個人戦では以下の通り好成績を収めました。
誠におめでとうございました。
強化指定選手を中心とした先発組は、大会の約1週間前に現地入りし、複数回の練習ラウンドを通じてコースの特徴を入念に確認しました。
今回の開催コースは以下のような特徴を有していました。
フラットな林間コースを主体としつつ、オーシャンコースでは海が目前(左側)に広がる英国リンクス風の景観で風の影響を強く受けやすい環境で、パインコースはトリッキーなホールが多く、スプーンやアイアンで刻む戦略が求められる構成でした。
フェアウェイは緩やかなうねりがあるものの概ね平坦。芝はバミューダに近い洋芝で粘性が強く、球が浮きづらい特性があり、ダウンブローでの正確なコンタクトが必須と感じました。
グリーンは傾斜・ラインともに読みづらく、芝目は海から陸へ流れる方向性と珍しい形でした。(日本の一般的な「山から海へ」とは逆)
なお、本コースは過去にプロトーナメントが開催された実績があり、世界選手権にふさわしい難度を備えていました。



出席者:野尻選手、松島京子選手、進藤さん(手話通訳)
主な報告事項は以下の通り。
2028年世界デフゴルフ選手権(イングランド)の準備は順調。内容の大幅な変更はない見込みだが、費用は変動の可能性あり。
世界デフゴルフ選手権はデフリンピック開催年(2025・2029・2033)に合わせ、4年周期で開催予定。次回以降は2028年 → 2031年 → 2035年…
2031年大会の開催地は、後日ZOOMでのプレゼン・投票により決定予定。



出席者:前島博之選手、中島梨栄選手、進藤さん(手話通訳)
ボールの行方に対するセーフ有無のジェスチャーやローカルルールの確認などが行われ、その内容は当日夜の日本チームMTGで共有いただきました。
クラブハウス背面の海を望む美しいロケーションで開会式が行われ、快適な環境の中で式典が進行しました。
また、メジャー優勝経験を持つヘンリク・ステンソン選手がサプライズゲストとして登場し、トークショーや記念撮影を行っていただけました。また、歴史的戦争(デンマーク vs スウェーデン)の実演、臨時テントでのパーティーによる国際交流などがあり、大いに盛り上がりました。







日没時間が21時頃と遅いため、1番または10番ホールからのスタートとなりました。(2年前のオーストラリアではショットガン形式でした。)
強化合宿ではピン位置が常に中央固定だったことと、4日間の仮想ピン位置の目印がなかったことから、戦略イメージの構築が難しい状況でした。
またグリーンの速さは、オーシャンコース:10フィート、パインコース11フィートとなるよう、ローラーがかけられ、本番に向けて難度が一段と高まっていました。




初日は風速10m近い強風となり、高い弾道が流されやすく厳しいコンディションでした。その中で、渕選手が日本代表で唯一70台を記録し、3位と好スタートを切りました。



前日とは一転し、穏やかな好天となりました。ほぼ全選手が前日より良いスコアを記録する中、前島博之選手が自身初、日本代表初となるアンダーパーを達成し、5位タイへ浮上。
また、初出場の川嵜選手が75という好スコアをマークし、8位入賞圏内へ浮上しました。
この結果、一般男子団体戦では前日の3位から初めて首位へ浮上しました。
なお、前回優勝者であるカナダのBOWIE選手は、今大会のベストスコアとなる67(前回大会でも同スコア)を記録し、2位に5打差のリードを広げました。




2日目よりも風が弱まり、気温が上昇する中でのラウンドとなりました。
ピン位置はバンカーとバンカーの間に切られるなど、非常にシビアなセッティングでした。
一般男子団体戦では、上位3名がいずれも70台後半でまとめたものの、首位との差が6打に広がり、順位は2位へ後退しました。
個人戦では、渕選手が73の自己ベストを記録し、トップから16打差の2位へ浮上。
小林選手は85でまとめ、4位に3打差をつけて3位(メダル圏内)へ浮上しました。



気温27度近く、ほぼ無風という最も暑いコンディションでの最終ラウンドとなりました。
渕選手は4日間すべて70台という安定したプレーを展開し、銀メダルを獲得。
小林選手も前日に続き安定したプレーで87にまとめ、初出場で銅メダルを獲得しました。
一般男子団体戦では、最終ホールにドラマがありました。
張りつめた空気の中、無数のギャラリーが息を呑んで見守っていた。
その静寂を破ったのは、川嵜選手の一打だった。
約10mのバーディーパット、途中で小さな丘、シビアな狙い目と距離感、誰もが「入れば奇跡」と思う距離。
パチンっとボールは加速し、丘を乗り越えた後、ゆっくりと転がり、カップ右端ギリギリからカップへと吸い込まれた。
次の瞬間、川嵜選手は拳を突き上げ、渾身のガッツポーズ。
歓声がどっと湧き上がり、堂々のデビュー戦で9位タイ。
続いて前島博之選手。
川嵜選手とほぼ同じ位置で、約5メートルのパーパット。
緊張が張りつめる中、放たれたボールは一直線にカップへ沈んだ。
両手を高く掲げ、万歳のガッツポーズ。
6位から4位へ浮上。自らの順位を塗り替える、魂の一打だった。
続くイングランド選手の約4メートルのパーパット。
会場全体が息をひそめ、ボールの行方を見守る中、わずかに右へ外れた。ボギー。
その瞬間、誰も予想しなかった展開に、会場はざわめきと驚きに包まれた。
アテスト提出後、一部の選手たちは成績速報サイトを食い入るように見つめた。画面が更新されるたびに心臓が高鳴る。
そして運命の順位が現れた。一般男子団体戦、日本とイングランドが同スコア。大会史上初のトップタイ。
勝敗は、最終日の上位3名のスコアによるカウントバック方式へ。
最終日の上位3名のスコアは以下の通り。
日本:227
イングランド:233
「一般男子団体戦・優勝:日本」がアナウンスされた。
ついに、世界一を掴んだ!
特定非営利活動法人日本デフゴルフ協会(前身の日本デフゴルフ連盟を含む)設立以来、初めての一般男子団体戦・金メダル。長い歴史の中で、ついに刻まれたトロフィーの「JAPAN」の文字。
その瞬間は、日本デフゴルフの歴史に永遠に刻まれる、まさにドラマのクライマックスだった。




一般男子の部はカナダのBOWIE選手が合計+4で大会2連覇。
一般女子の部はカナダのRIVARD選手が合計+8で初優勝。
両選手は2025東京デフリンピックの混合ダブルス戦で優勝したペアでもあり、「個人の強さはペアでも強さにつながる」ことを示す結果となりました。
一般女子の団体戦はドイツチーム、シニア男子の団体戦はアメリカがそれぞれ優勝。
そして一般男子団体戦の日本優勝が発表された瞬間、会場はどよめきとともに皆が立ち上がり、スタンディングオベーションの大きな波が選手たちを包み込みました。
その光景は、長い年月の努力が一気に報われた瞬間を祝福する、温かく力強い拍手でした。
選手たちは互いに抱き合い、興奮と涙が入り混じった表情でその歓喜を噛みしめていました。
特に袖山選手は、2006年の初出場以来、毎回欠かさず出場しており彼から以下コメントをいただきました。
「個人戦では上位に入るものの、団体戦ではほぼ最下位争いで、悔しくて泣いてしまった日がありました。あれから20年、若手発掘や強化チームの発足など、仲間と力を合わせ、多くの方々の応援と支えを力に変えながら挑戦を続けてきました。10回目の出場でついに悲願の初優勝。長年の夢であった世界一を達成し、感無量です。」







日時:8月17日(月)14:30〜15:00
場所:在スウェーデン日本国大使館(ストックホルム市内)
ご対応者:水越大使、髙橋一等書記官
万が一の緊急事態に備えた待機など、ご支援いただいたことへの御礼を申し上げました。
その後、一般男子団体戦での初優勝をはじめ、各部門におけるメダル獲得および入賞のご報告を申し上げたところ、大変喜んでいただくことができました。
また、スウェーデンでの滞在中の様子などについて歓談し、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。

最後に
ユニフォーム等をご提供いただいたアンパスィ様、
キャディーバッグ及びボールをご提供いただいたスリクソン様、
そしてスポンサー交渉・調整をはじめ、宿泊予約、レンタカー予約、しおりの作成、連日の配車スケジュールの管理、自発的な自炊や洗濯などの生活面のサポート、さらには各種ミーティングや式典での手話通訳など、陰でチームを支えてくださった選手・スタッフ・関係者の皆さまに心より深く感謝申し上げます。
本競技力向上事業は日本スポーツ振興センター「競技向上事業助成金」を受けて、実施いたしました。
https://www.jpnsport.go.jp
以上

