2024年第14回世界デフゴルフ選手権大会(JPC競技力向上事業)

2024年8月24日から29日まで、オーストラリアのゴールドコーストにあるRACV ロイヤルパインズリゾート (RACV Royal Pines Resort Gold Coast) で第14回世界デフゴルフ選手権が開催されました。
参加国12ヵ国、参加人数合計108名(男子43名、女子27名、シニア男子33名、シニア女子5名)で競われました。

日本代表の成績は下記の通りです。

一般男子団体戦での銅メダルは、特定非営利活動法人日本デフゴルフ協会(前身の日本デフゴルフ連盟を含む)を設立して以来、初めての快挙です。
これまでの最高順位は4位(2000年IN南アフリカ)でした。
また一般女子の部の辻選手とシニア男子の部の野尻選手が銅メダルを獲得し、
一般男子の部の前島選手が6位、渕選手が8位入賞と、好成績を残しました。
誠におめでとうございました。

大会前(8/18~8/23)

先発組(強化指定選手中心)は大会の1週間前に現地入りし、数回練習ラウンドしながらコースの特徴を確認しました。
今回の開催コースはフラットでストレートコースを中心に数ホールは左右ドックレッグがあり、ほぼ毎ホールに池やバンカーが配置されていました。
フェアウェイは細かな傾斜があり平らなところが少なく、芝はバミューダに近い洋芝で球があまり浮かない状況で、正確なショットが求められました。
グリーン周りは、ほぼ全て砲台グリーンで、多数のコブやバンカーがあり、アプローチの正確性が試されました。
本コースは2013年にオーストラリアPGA選手権が開催されたこともある、難コースでした。

世界デフゴルフ連盟(WDGF)総会(8/23)

2026年の世界デフゴルフ選手権INスウェーデンの開催準備は順調であることが報告されました。
2028年の世界デフゴルフ選手権の開催場所にはイングランドとカナダが立候補し、投票の結果、イングランドに決定しました。
また、リージョンごとの選手権を開催する計画があることが報告されました。
今後の世界デフゴルフ選手権の開催はデフリンピックやリージョンごとの選手権に合わせて、2028年→ 2031年→ 2035年…という流れで開催する予定とのことです。
またデフリンピックのゴルフ競技は2025年11月17日から21日の日程で開催されることが報告されました。(17日は練習日、18日~20日は個人戦、21日は男女混合チーム戦)

キャプテン会議(8/24)

プレーのペース(スロープレーに対する警告の方法)やローカルルールの確認などが行われました。手話通訳士の進藤さんが精力的に会議の内容を通訳してくださいました。

開会式(8/24)

今回は紫外線が強い影響なのか、珍しくドーム型のテニスコートで開催となり、快適な開会式となりました。
そのままクラブハウス内外でパーティーを実施し、海外の様々な選手と交流を深めました。

公式練習日(8/25)

前回の大会と同じくショットガンスタート方式で日本チームは13Hと14Hからのスタートとなりました。
事前に強化合宿した強化指定選手たちからはグリーンが先週よりも少し速くなっているとのことで、本番に向けて難コースに変貌してきていました。

初日(8/26)

初の国際大会、または久しぶりの大会の雰囲気に圧倒され少々硬さがあったのか、実力発揮できなかった方が多数いる中、前島選手が日本チーム内で79と唯一の70台をマークし、4位タイと好スタートを切りました。
最終ホール(9H)にて日本代表団長兼シニア男子の部の野尻選手が約10mのバーディーパットを沈め、チームにゲキを入れるなど盛り上げました。

2日目(8/27)

大会の雰囲気に慣れてきたのか、女性とシニアの選手達は好スコアをマーク。その中、辻選手と野尻選手はベスト5以内とメダルを狙える好位置につけました。
一般男子は初日とほぼ同様、全体的にスコアがまとまらない中、前島選手は2日連続70台後半にまとめ、個人戦7位。今年から5名中3名が良いスコア採用方式変更となり、団体戦4位と踏ん張っていました。
前回準優勝者のカナダのBOWIE選手が今大会ベストスコアとなる67をマークし、初日トップから8打差あったところ、一気に1打差まで詰め寄りました。
その後、オーストラリアの原住民のダンス披露やタッチアメフト体験、オーストラリアのBBQなどを堪能しました。

3日目(8/28)

1、2日目に80台後半と不調であった袖山選手が75、初出場の渕選手が76と初の70台をマークし、一般男子団体戦3位に浮上しました。(4位との差は4打)
また辻選手も3位、野尻選手は4位と奮闘し、メダルを狙える位置を維持していました。
また前島選手と渕選手が6、7位に入ったことで最終組から2番目の同じ組になり、とても良い雰囲気で最終日を迎えることになりました。

最終日(8/29)

気温30度近くと4日間通して快晴と天気に恵まれた中、初日から体調不良で棄権となった元日本代表デフサッカーの中島選手(デフゴルフへ転向して4年目)がオープン者としてラウンドし、調整不足でありながらも92と大舞台の雰囲気やプレッシャーをものともせず、貫禄のあるデビュー戦を果たしました。

最終ホール、多数のギャラリーが観ている中、
野尻選手はメダル獲得がかかった約5mのパーパットを見事に沈め、渾身のガッツポーズ!
イギリスの選手がボギーとなり、18Hからカウントバック採用で念願の銅メダル獲得となりました。
辻選手は2打目を砲台グリーンから外し、深くて重いラフに入りピンチとなりましたが、ピンまで残り約15y、柔らかいロブショットで1mに寄せ、難なくパーセーブし、接戦から抜け出し初出場で銅メダル獲得と衝撃のデビューを果たしました。
前島選手と渕選手はお互いにパーオンし、バーディーパットは惜しくも入らず、パーで仲良くフィニッシュ。

男子団体戦の最終日は前島選手74、袖山選手77、渕選手79、合計230と4日間の中で1番良い成績となり、順位変動は前日と変わらず、
特定非営利活動法人日本デフゴルフ協会(前身の日本デフゴルフ連盟を含む)を設立して以来、初めての一般男子団体戦の銅メダル獲得を成し遂げました。

表彰式(8/29)

一般女子の部はフランスのBREJO選手が合計−7
一般男子の部はカナダのBOWIE選手が合計−4と、どちらも唯一のアンダーパーをマークし、初優勝を果たしました。
特にカナダのBOWIE選手は初日を除く3日間の合計スコアが11アンダーと驚異的な爆発力を見せました。
団体戦ではアメリカチームが一般女子とシニア男子の部で優勝し、選手層の厚みを見せました。

帰国前(8/30)

野尻団長と山下さん、手話通訳士の進藤さん3人で在ブリスベン総領事館を表敬訪問いたしました。
胡摩窪総領事に温かく出迎えていただき、そこで大会の報告やゴールドコーストでの印象や、
過去の世界大会や2025デフリンピックやゴルフのお話など色々とお話し、労いの言葉をいただきました。
ありがとうございました。

最後に

ユニフォームやトートバッグ等をご提供いただいたラフ&スウェル様、ポロシャツをご提供いただいたパーリーゲイツ様、
オーストラリアまで国際宅配便で差し入れを手配いただいた小山さんと小山さんの上司と、岩崎さん、
8/23の発起会の手配などいただいた酒井さんと地元友人、その発起会費用にカンパしてくださった日本にいる応援の皆さん、
参加登録手続きや各ホテルやレンタカーの手配、スケジュール作成、チーム引導など、チームをサポート頂いた野尻団長をはじめ、会計の取りまとめやユニフォームの確認などサポートいただいた山下さん、各ホテルのチェックイン手続きや各会議での手話通訳業務や撮影などサポートいただいた進藤さん、総会やルール説明やキャビンさんからの連絡などをフォローいただいた袖山由美さん、
多くの方々からの多大なるご協力に、深く感謝の意を申し上げます。

本競技力向上事業は日本スポーツ振興センター「競技向上事業助成金」を受けて、実施いたしました。
https://www.jpnsport.go.jp

以上

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