2016年デンマーク大会の各施設や運営の様子を報告します。
2016 WDGC Denmark
[ 施設や運営についての報告]
空港にて|
到着した時は既に出迎えがありました。
赤いポロシャツはボランティア
青いポロシャツは通訳者(聴者とろう者)
聴者通訳者はデンマーク語からデンマーク手話
ろう通訳者はデンマーク手話から国際手話
ボランディアは約40 名
通訳者は約40 名(各20 名ずつ)
シャトルバスでホテルへ移動
ホテル|1
(左)2016WDGC スポンサーでもあるクラウンプラザホテルの外観
(下)ホテルの窓にはWDGC2016 ロゴシールが貼られていました。
(左)受付には青ポロシャツの通訳者がお手伝いしております。
(右)スポンサーのボルボ車が展示。奥にはWDGC ポスターあり。
総会の様子|2
(左)総会でも通訳者がスタンバイしています。(4 人で1 チーム)
(右)賛否についてはカードを表示 赤➡却下 緑➡賛成
R&A からの要望
ジュニアゴルファーとレディゴルファーを増やすこと。増やすための活動費として必要なら
出資してもいいそうです。シニアの層を増やすことには興味がありませんと明確。
新しく、今大会からU23(23 歳以下)個人部門が出来ました。
2017 年デフリンピックトルコ大会のゴルフ競技について
去年時点ではトルコにはもともとゴルフ場が無く、急遽海を埋め立て地にして9 ホールまで完成したという報告でした。世界デフゴルフ連盟会員からは9 ホールでは話にならないと不満が多かった為、出来るだけ18 ホール作ってほしいと要望を出したところ16 ホールまで出来上がっているそうです。デフリンピック委員会はゴルフルールに精通していないため、世界デフゴルフ連盟の監視の下で競技が行われるとする。
競技委員長は世界デフゴルフ連盟の競技担当であるギャビンさんが監督として派遣。世界デフゴルフ連盟の競技ルールはR&A に基づいているので、9 ホールについてどう思うかと相談してみた所必ずしも18 ホールでなければならないというルールは無いそうです。その為、9 ホールで競技することに異議なしとR&A からの返答あり。大まかの参加者資格は各国男女3 名ずつ(年齢制限なし)、世界デフゴルフ連盟が設定しているHC をクリアしている選手となります。競技は4 日間で最初の2 日で振るい落とされ、テニスと同じように個人戦で勝ち抜け方式。
本来なら7 月に視察の予定だったが、トルコでテロがあったため延期し、12 月に視察して詳細など最終決定する予定。
開会式の様子|3
ロイヤルゴルフクラブ正面(18 か国の旗が揚げられています)
18 か国 98 選手:男子55 名 女子13 名 シニア30 名
今回最年少11 歳ドイツ選手のAMELIE PALOMA が参加しました。
2012WDGC 日本大会から加った開会式のイベントが恒例になったようです。
2012 年ではドラコン大会、2014 年シュートアウト(マッチングプレー)
今大会はスピードゴルフリレー、4 人で交代しながらカップインする。
日本代表は4 名しか派遣していませんので自動的に全員参加。
ティーは飛ばし屋の袖山選手、2 番手は柳田選手、3 番手は山田選手、4 番手は益永選手。
各2,3,4は着地してくるであろう所で待機し、そこから打ってカップインするまでリレー方式でスピード競争になります。袖山選手が大きく曲がったため、2 番手の柳田選手はボールの行方が分からずまごまごしていました。しかし、袖山選手はちゃんとボールを追っていたのですぐに柳田選手に指示し、山田選手につなげました。しかし、予想と違って袖山選手が飛ばすに曲げたために距離が短くなり、予想位置から離れたことで懸命に3 番着地へ走って打ちました。最終的にカップインしたのは7 番手の山田選手でした。4 人揃ってホールアウトする様子はかっこ良かったです。
大会の様子|4
練習場は2 つあり、奥に見えるのが屋根付きでゴムマットの上で打つタイプ(左図)と
自然芝の上に打つタイプがありました。
この大会にはボルボがスポンサーとなっており、キャディベストが支給されました。
メインスポンサーはワイデックスとクラウンプラザホテルとカサンタの3 社。
そのほかにボルボを含む16 社がパートナーシップスポンサーとして参加していました。
コースは津カントリークラブと同じようにフェアウエイが狭く、お台形になっております。
ほとんどのホールがラテラルウォーターハザード(赤杭)で、多くの選手が苦しんでいました。ラフも深く、そこに落ちたらもうボールはほとんど見つからないのでペナ1でどんどんスコアが落ちていました。
コースは18 ホールしかないので、女性、シニア、一般男子の順で回ったので1 日目の最終ホールアウト時間は20 時になっていました。翌日からはスピードアップで18 時にはホールアウトするようにしていました。
今大会はライブ動画があります。つまり3 ホール毎にスコアをボランティアに伝えて、そのスコアがホームページにアップされますのでその選手の今のスコアが分かります。
最終結果|5
一般男子 (左からWARING 選手、JOHN 選手、BABINEAUX 選手)
1位、JOHN, Allen 選手(ドイツ) (72、71、72、74)289
2 位、WARING, Paul Daniel 選手(イングランド) (79、82、74、76)310
3 位、BABINEAUX, Brandon 選手(アメリカ) (79、76、74、85)314
女子 (左からINGMAN 選手、WARRINGA 選手、HJELLEGJERDE 選手
1 位、INGMAN, Lydia Beth 選手(イングランド) (87、82、82、82)333
2 位、WARRINGA, Leonie 選手(オランダ) (81、87、89、84)341
3 位、HJELLEGJERDE, Andrea Hovstein 選手(ノルウェー)(94、88、82、89)353
シニア (左からHOFFMAN 選手、LOTHIAN 選手、RUSH 選手)
1 位、LOTHIAN, Mark 選手(スコットランド) (86、78、86、84)334
2 位、HOFFMAN, Kenneth 選手(カナダ) (80、84、87、86)337
3 位、RUSH, John 選手(アメリカ) (83、78、85、92)338
今大会から新しく加わった部門
アンダー23 の部
男子優勝 WARING, Paul Daniel 選手(イングランド) (79、82、74、76)310
女子優勝 INGMAN, Lydia Beth 選手(イングランド) (87、82、82、82)333
スーパーシニアの部
優勝 RUSH, John 選手(アメリカ) (83、78、85、92)338
元プロデフゴルファー|6
今大会で元プロデフゴルファーが3 人いることが判明しました。
まず一人目は今大会の優勝者ドイツ選手のAllen さんは2 年前までプロゴルファーでヨーロッパツアーに出ていた実績があります。負傷が原因でプロ界から去り、新しい勝負の場として世界デフゴルフ選手権を選んだそうです。彼のHC が+3.7なのはうなずけます。
2 人目は世界デフゴルフ連盟を立ち上げた一人でもあるカナダ選手のJONATHAN さん。7年間プロで頑張ったけど、ろう者は彼一人だけだったこといろいろ辛かったようです。プロの世界は厳しく思うような成績ができなかった様です。アマチュアに戻るのに2 年間費やしたと言っていました。おなじデフ仲間とゴルフが出来て幸せそうです。
3 人目はアメリカ選手のBruum さんです。彼は10 年間プロで活動していたそうです。大学2 年からプロになったそうですがPGA まではいけなかったそうで、あきらめてデフゴルフ界で同じ仲間と楽しんでいるのこと。
The Silent Fairway|7
デフゴルフ歴史をKeven・Whalley さんによってまとめた本が出来上がりました。
この本によりますと1902 年にはスコットランドのEdinburgh デフゴルフクラブが立ち上
がり、第1 回大会を実施しているそうです。計算すると今から114 年前となりますね。
1914 年にはイングランドのロンドンでナショナルデフクラブゴルフチャレンジカップ実施。
1947 年 アメリカ中西部デフゴルフ協会が創立
1959 年 アメリカ南西部デフゴルフ協会が創立
1970 年 アメリカ極西、南東デフゴルフ協会が創立
1970 年 オーストラリアデフゴルフ協会が創立
1975 年 ニュージーランドデフゴルフ大会実施
1978-80 全米デフゴルフ協会が創立
1985 年 スコットランドデフゴルフ協会が創立
1985 年 スコットランドVS イングランド マッチ戦実施
1987 年 南アフリカにデフゴルフ投入
1993 年 カナダデフゴルフ大会 第1 回実施
1995 年 第1 回世界デフゴルフ選手権イングランド大会実施
1995 年 世界デフゴルフ連盟創立
1995 年 アイルランドデフゴルフ組合い創立
1997 年 第1 回日本デフゴルフ選手権大会実施
この年号だけ見てもこの本は歴史的な価値があると思います。
著者ケビンさんは5 年間資料を集めて、書きあげたそうです。
約300 ページで、写真も豊富に載せています。残念ながら英語表記になっています。
2018WDGC アイルランド大会|8
場所:Carton House – Dublin, Ireland
宿泊からクラブハウスまで歩いて行けるくらいの近さだそうです。
36 ホールあるので、女子、シニアと一般男子と2 つに分けて競技することができるそうで
す。時期:7 月
http://www.cartonhouse.com/golf/
2020WDGC イングランド大会|9
場所:Woodhall Spa Golf Club
www.woodhallspagolf.com
時期:8 月11 日から14 日
感想|10
私、袖山由美は世界デフゴルフ選手権へは4 回参加しております。
そこで感じたことは毎大会ごとにコースの難度レベルがアップしております。世界デフゴルフ連盟が目指している、聴者にも劣らないレベル高い大会にしたいという意図に従っております。トップテンを見ても、やはり若い年代の台頭がめきめきと目立っていますね。
今大会ではHC がプラスである選手がオーストラリアJack コンビ2 名と優勝者ドイツ選手Allen さん1 名と合わせて3 名。その3 名は当然トップ10に入っています。
日本選手は残念ながらほとんどが最下位にいます。このままだと日本はいつまでたっても世界に勝てません。HC も毎大会ごとに少しずつ少なくなって来ています。下手にしましたら日本人はHC 基準に満たさず出れなくなる可能性はいつか起きてもおかしくはないでしょう。
今のところは袖山選手が奮闘していますが、袖山選手以外にも世界で戦える選手の育成が今後の課題になるでしょう。その同時にジュニアゴルファーとレディゴルファーの発掘に力を入れなければならないでしょう。
今大会の最年少11 歳ドイツ選手のAMELIE 選手は5 位と健闘していました。
来年のデフリンピックからゴルフが競技となり、国からの助成金が出ますが、今の日本選手の成績では降りにくいでしょう。陸上や水泳はたくさんメダルを取っている実績で助成金が沢山出ているようです。
今後の海外遠征するときのスポンサーや助成金など、しっかり協会が選手の負担ない様にフ
ォローできるような体制でないといけないと思います。
アメリカ大会から毎日メール(5 通ほど)での連絡があり、確認するたびに全員にライングループを使って内容を伝えていました。TD 会議の時もローカルルールなど説明があり、ここでもやはり通訳することで選手にしっかりルールが伝えられると感じました。
以上 (文責 袖山由美)